糸島の空き家(古民家)再生プロジェクトその3(活用編)

プロジェクト

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

糸島の空き家(古民家)再生プロジェクトの3回目は、運営会議による古民家の活用です。

ボクが運営に関わっている「きしはま邸」でどのように建物の維持管理や運営、組織づくりを行ってきたかについて書きました。

地域で空き家を活用する際の参考になれば幸いです。

糸島の空き家(古民家)再生プロジェクト(準備編)

2015.11.25

糸島の空き家(古民家)再生プロジェクトその2(開発許可編)

2016.02.23

空き家の管理を行う組織を立ち上げる

岐志浜の集落にある海徳寺では、以前から週1回ほど地域の人たちが集まっておしゃべりをする居場所づくりを行っていました。

ただ、お寺は集落から800mほど離れた場所。

普通の人にとっては大した距離ではありませんが、足の不自由な高齢者の方々には家族の送迎が必要になります。

家族に負担をかけず、自分の足でも気軽に通える身近な場所でできないだろうかという悩みがありました。

きしはま邸は、岐志浜集落のちょうど中央にある江戸末期の建物。

集落のどこからもアクセスがよく、高齢者の方々も徒歩でくることができます。

ただ、居場所づくりを担っていた社会福祉法人の志摩会は、老人ホームや介護事業などを行っていて、建物には詳しくありません。

空き家になった期間は半年と短いものの、建物自体が古く、どの程度の改修が必要なのかがわからず、不安を抱えていました。

そのため、建物の管理を行う「旧土井良丈文家住宅管理運営会議(以下、運営会議)」という組織を別途立ち上げ、志摩会には使用料を払ってもらい、居場所づくりを行ってもらう形をとりました。

地域の元気な高齢者が集まる「おこもりカフェ」

志摩会には基本的に月2回ほど、「おこもりカフェ岐志浜」という認知症カフェを取り組んでもらっています。

高齢者の方々が集まり、おしゃべりをするだけでなく、過去を語ることで認知機能の改善が期待できる回想法や、九州大学の落研による落語会などの催しも行っています。地元だけでなく周辺の集落からも毎回20人ほどが参加。

参加者の中に、志摩会の施設を利用されているご家族もおり、スタッフと顔見知りなので、最初から和やかな雰囲気でした。

認知症に対する不安や悩みなども気軽に相談できることから、予防だけでなく家族の不安解消にも一役買っているようです。

志摩会の古賀さんに悩みなどはないですかと伺うと、「参加者もお茶をついでくれるなどのお世話をしてくれるので、スタッフとボランティアと参加者の境目がわからなくなります」と笑っていました。それほど元気な高齢者が多いようです。

おこもりカフェは11月にちょうど1周年を迎え、記念コンサートも盛大に行われました。地域で定期的に人が集まれる環境をつくることができてよかったと思います。

回想法では、昔の道具をきっかけに当時の生活を語ってもらいました

1周年コンサートの演奏会の様子

空き家の維持管理はトラブル続き

建物を管理する運営会議は、所有者の弟である田中さんに代表を務めてもらい、海徳寺の松月さんと私の3人で運営しています。

田中さんは所有者との連絡調整、松月さんは集落との連絡調整、私は都市計画などの行政手続きや会計のお手伝いをしていて、月1回程度集まりながら、改修のことや管理の相談を行っています。

おこもりカフェの参加者には、足腰が弱い方もいることから、玄関の段差解消やトイレのバリアフリー化なども行いました。

冬場は電気容量が足りなかったり、お風呂場で雨漏りが発生したり、地震の影響で壁が崩れるなど、いろいろなことが起こりましたが、志摩会の協力もあり、なんとか1年間管理することができました。

改修によって土間をフラットに

トイレも引き戸と手すりで高齢者が使いやすく

地域との交流活動

運営会議には、たまに岐志浜行政区長や役員、民生委員などにも参加をいただき、「ムリのない範囲」で地域の交流活動を行っています。

昔集落の人たちが気軽に集まっていた寄り合いを再現しようと「お祇園さん」や「七夕まつり」などの企画も。

土井良家住宅は、狭い通りに面しているので、外から中の様子がよく見えます。

祇園祭りの際、通りを歩いている人に「おあがりなさいよ」と声をかけると、皆さん気軽に入ってきます。

都市部と違って田舎では近所に知りあいが多く、1人でも知っている人がいると、数珠つなぎに人が増えていきます。他人の家にあがることに抵抗も少ないようです。

年配の方々とも「誰々の子ども」というと顔が思い浮かぶのか、昔話に花が咲いていました。

ただ、その一方で、世代を超えて人が集まる機会は減少ぎみ。

こうして世代を超えた集まりが必要だなと感じました。

七夕まつりでは、朝露を集めて刷った墨で障子紙を使った短冊づくりも。

この時期に取った竹は腐りにくく、短冊を飾ったあとは物干し竿に使っていたのだとか。

昔の知恵には学ぶことがたくさんあります。

竹の水鉄砲をつくり、大人も童心に帰って一緒に遊んだり、ソーメン流しを楽しんだりもしました。

帰省で都市部にいる子どもたちも来ていましたが、集落の子たちと一緒になって遊んでいました。

こうした交流はほそぼそでも続けていければと思っています。

地域づくりは焦らず、地域との関係づくりから

きしはま邸は志摩会に利用してもらっていますが、それ以外の収入は乏しく、年間を通じて運営できる経費を稼ぐことはできていません。運営費の半分は補助金頼りです。

近くの岐志漁港ではかき小屋で人が集まるため、宿泊ニーズはあると思うのですが、集会所に用途変更しており、ゲストハウス等に使うことは難しい状況です。

ただ、周囲には空き家が多く、十分に住めそうな建物もあります。そうした住宅はまったく市場や空き家バンクにも出ていません。

荷物や仏壇などの問題もありますが、所有者や地域の方々との信頼関係がないとなかなか貸してもらえないのではないかと思います。

土井良家住宅の取り組みを通じて、そうした空き家の所有者や関係者とのつながりをつくり、こちらで片付けや最低限の改修を行うことで貸してもらうことができないかと考えています。

それらの住宅をゲストハウスとして活用することで収益を生み、土井良家住宅の運営費を捻出する状況を作っていけないかと思っています。

まだまだ、課題は多いですが、焦らずに長い目で取り組んでいきたいと思います。