糸島材での家造りをめざす大工の棟梁

地域づくり事例

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

糸島には昔ながらの伝統工法で家造りをしている大工(工務店)がいます。

森づくりにも積極的で、目指しているのは糸島材だけでの家造り。

自分が家を建てる機会があるとすれば、ぜひお願いしたい人です。

今回は糸島へのこだわりが半端ない加賀田棟梁の取り組みを紹介します。

棟梁との出会いは「えんがわサロン」

そもそも加賀田棟梁と出会ったのは、えんがわサロンがきっかけ。

えんがわサロンは、糸島で地域活動をしている人たちと九大生をつなぐために行っていたプロジェクトです。

当時、九大生の福井くんが空き家に暮らしながら、一部スペースをコミュニティに開放する「住み開き」を行っていました。

ボクもその取組に共感し、事業やプロジェクトなどの地域活動を実践している人を呼びだしたのがえんがわサロン。

農林業を営む吉村翼くんと木こりで木工職人でもある薦田さんを招いた会に参加してくれたのが加賀田さんでした。

「森の健康診断」などの糸島の森づくりの活動にも参加していて、応援しに来てくれたわけです。

和装で無口なガタイのよい人だなと思ったのですが、話してみると、とても気さくで若い人たちの話を熱心に聞いてくれる”よかにせ”でした。

このときのご縁がきっかけで、かとぅーんと施主の家を訪問させてもらったり、古民家再生の取り組みを紹介させてもらったりとご縁が広がるから不思議なもの。

サロン活動をすると、事務局の人間が一番「人もうけ」ができると実感した会でした。

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従来型の家づくりからの伝統的な家造りへの転換

加賀田さんは、はじめから伝統的な家造りをしていたわけじゃありません。

意外にも、もともとはハウスメーカーの営業でした。その中で現場を知らないといけないと感じて大工修行を始めたそうです。

独立したのは32歳のとき。

バブル期だったので輸入材の家造りやツヴァイフォーの家を造るなど、さまざまな取り組みをしたのだとか。

そうするうちに、なぜコンテナで大量の油を使って外国材を輸入し、神戸から福岡まで陸路で持ってきても近場の山の材木より安いのかということに疑問を持ちます。

安くて売れないので山を切らない。間伐しないから山が荒れるという悪循環がだんだん見えてきました。

地元の大工が、糸島材を使わないと山は活性化しない。

そう気づいた棟梁は、糸島の工務店仲間や製材所などと一緒に糸島材「伊都国スギ」の家造りを進めています。

すでに機械乾燥した材を使った家が2軒ほど建ち、現在、天然乾燥材の家が建設中なんだそう。

糸島材で糸島に家を建てる動きが少しづつ実現しています。

大工仲間で古民家などの再生支援

加賀田さんは、古民家などの木造建築物の改修なども手伝っています。

裏山が崩れて基礎の部分に土砂が流入した築250年の建物の改修では、入り込んだ土は数10トンもあり、トラック数10杯に。

竹小舞の部分はまだ強度があったそうで、生かせる部分は残しながら、極力廃材が出ないようにしています。

英彦山神宮で築300年ぐらいのお堂がだいぶ傷んでいるのでなんとかできないかと宮司からの相談も。

週末に大工仲間が集まり、ボランティアでお堂の腐った部分をジャッキアップで根継ぎによる改修を手伝ったそうです。

江戸時代の根継ぎも残っていたり、改修の痕跡もたどれたりするのだとか。

熊本の震災直後、大工仲間から「水と食料とテントをもって自己完結型で手伝いに来い」と声がかかることも。

近所の公民館に泊まりながら、被害を受けた建物の瓦を取り、野地板を張るなどの協力をしたそうです。

余震が続く中で、足場も組めず危険と隣合わせで緊張感のある作業だったとか。

耐震構造に対する科学的なアプローチも

メーカーは住宅を販売する際、軽量鉄骨の強度などを数字を根拠に説明します。

大工も耐震性などの数字に自信を持とうと、大工仲間でお金を出し合って、北九州のポリテックカレッジで機械を借りて強度試験などを実施しています。

地震の横揺れを想定した試験を行って、筋交いにフシがあるとどれだけ強度が落ちるかなどを調べたり、金物や込み栓(留め具)の引張り試験などを行い、丸型と角型の強度比較なども行ったそうです。

木造建築へのこだわりや意気込みを感じます。

地域と人付き合いを大切にする棟梁

加賀田さんは、地域への愛が溢れていて、損得抜きに付き合ってくれるオヤジのような存在です。

地域ではこのようにフラットな関係でありながら、ここぞというときに頼れる人の存在がとても貴重です。

ボクが管理と運営を手伝っている「きしはま邸」で、九大生が企画した「大学では教えてくれない建築」のセミナー講師も快く引き受けてくれました。

以前、加賀田さんが建てた家主さんのところに伺ったときも、子どもが棟梁をおじいちゃんのように慕っていたのが印象的でした。

加賀田さんは地域だけでなく、人付き合いもとても大切にしてくれる方です。

ボクもこうしたご縁の輪に加えていただいたことをありがたいと思いながら、今後は少しでも森づくりや糸島材の家造りの活動にも貢献できればと思っています。