こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。
高田ゲンキさん(@Genki119)の「フリーランスで行こう!」を読みました。
2004年にイラストレーターのフリーランスとして独立したプロセスをライフハックしたコミックです。
初心者がよく陥りそうな失敗談が満載なので、マンガなのに濃厚です。
著者はボクと同い年(1976年生まれ)。
同じフリーランスとして共感する部分、同世代として懐かしいと思う部分が多々ありました。
一方で仕事内容や独立時期が異なるので、ちょっと違うなと感じた部分も。
なので本の内容を踏まえて、ボクなりのフリーランス生活のエッセンスを交えて紹介したいと思います。
本と合わせて読んでもらえるとありがたいです。
フリーランスになる前の準備
著者のゲンキさんは、中途で入社した会社を1年くらいで思い切って辞めています。
逆にボクは一つの会社に20年近くも勤めていたので、勇気あるなぁと驚くばかり。
ただボクも前の会社に入社したときの飲み会で「3年で辞めて大学に戻って研究者になります」と生意気なことをいって周りをあ然とさせていました。
というのも学生時代からコンサルタントを3社ほどアルバイトで掛け持ちしていて、業務に既視感があったから。
英語もしゃべれないのにインターンでオランダのコンサルタント会社で働いたり、根拠なき自信があった時期でもありました。


結局、前の会社を長く勤めたのは単純に楽しかったから。
仕事につながるなら何をしてもいい風土があり、自由度が高かったので、やりたいことをさせてもらいました。
人材の流動性も高く風通しもよかったのですが、気がつけば社長のすぐ下はボクに。
会社組織に残って経営を手伝うか、独立するか、最後は2択になっていました。
フリーランス独立のきっかけ
ゲンキさんが独立した2000年代前半は、まだまだフリーランスは少なく認知も低い時期。
ボクもそのころ、脱サラして農業を始めようとしたのですが、周りや彼女(今のヨメ)の反対で挫折した苦い思い出があります。
ゲンキさんのように先達をわざわざ鹿児島まで訪ねて、独立した方がいいなんて背中を押してくれる人は皆無。
それでもボクが独立できたのは、2016年にあるプロジェクトのマネージャーを頼まれたことがきっかけでした。
チームを組んだ仲間がたまたまフリーランスのプロデューサー、ライターたちだらけ。
飲み会のたびに後輩から「本田さんのマネジメント能力、まじでバリバリ仕事きますよ。独立したらいいのに」といわれました。
先輩に背中を押してもらうのではなく、後輩にアジられてフリーランスになったところに時代の変化を感じます。
でも専業主婦のヨメと小さな子どもが2人いるのに本当に独立できるのか?家族を路頭に迷わせてしまわないか?とめちゃくちゃ悩みました。
最後に吹っ切れることができたのは、実は副業を始めていたからです。
独身のころはボランティアでNPOの事務局長などを手伝っていましたが、「事務局代行」という仕事にしました。
副業のボリュームも増えてくると自信がつきます。
会社を辞めるころには、独立してもなんとかなりそうだという感覚が芽生えていました。
サロンを通じたフリーランスの営業
ゲンキさんとボクで似ていると感じるのは、泥臭い営業をしているところ。
今でこそSNSやブログを通じて、スキルを発信したりコミュニケーションが図れますが、逆にボクらはWEBを使いつつ、アナログの良さを知っている世代。
自分のスタイルに近い本や雑誌を見つけてアポイントを取ったという飛び込み営業は正直すごい。とてもマネできません。
ボクの場合は「ザ・営業」というのがどうしても苦手。
なので地域で面白い人を見つけるたびに取材して、自分主催のサロンや研究会にその人たちを招いて話をしてもらいました。
今でいうオンラインサロンを地域に限定した場でやっていた感じです。


当然、最初は人が集まらず会場代や講師代を自腹で払ったことも。
地元の新聞社に取材してもらったり、チラシを配ったり、大学生に声をかけたりして、地道に広げました。
地域の仕事の多くはこうしたサロン活動を通じて知り合った方々から声をかけてもらっています。
マネジメントやコンサルタントは、仕事が人につく面でイラストレーターやデザイナーに似ている反面、スキルを可視化するのが難しい職能です。
ボクは地域や業務にのめり込むタイプなんですが、そのスタイル自体が人によっては合わなかったりします。
願わくば、ボクの性格や思いをわかってくれる人と一緒に仕事がしたいのが本音。
サロンという場は、ボクの職能を知ってもらうことと同時に相性を確認するためのフィルターにもなっていました。
新しい仕事づくりの必要性
「フリーランスで行こう!」の中には、個展を開催して大失敗した話が出てきます。
失敗したとはいえ、新しいことにチャレンジすることはとても大事。
チャレンジを通じて自分の需要がどこにあるか見えてきます。
仕事が順調なときほど、次の柱となりそうな新しい仕事にチャレンジする意識は重要です。
1つの専門性だけにすがっていると、いつの間にか市場がなくなったというのはよくある話。
長期的にみるとチャレンジすることは実はリスクヘッジなんだという視点は、フリーランスでも持っておかないといけないと思います。
ちなみにボクはかなりせこい人間で、新しくやりたいことを企業に企画提案し、そのマネジメント業務を受注しながら、チャレンジさせてもらったりしています(笑)
フリーランスの生態系づくりと後進の育成
最後に、ゲンキさんが後進の育成に言及されているのを読んで、本質を知っている人だなと共感しました。
というのも、前述したプロジェクトチームの後輩たちには「育成」という視点がまったくありません。
フリーランスは仕事ができて当然。
したがって相手にも同じレベルを求めます。
アウトプットのクオリティに価値を置くので、スキルやレベルアップは個人でやってこいという感じです。
チームの中には見習いレベルの子もいたので、ボクが丁寧に仕事を教えたりしていました。
ぎりぎりまでマネジメントを任せたりしているのをみて、
「よくそこまで我慢できますね。自分でやっちゃった方が早いじゃないですか」
と言ってきたりもしました。
フリーランスの仲間にも人材育成に力を入れている人はほとんどいません。
自分のことだけで精一杯という面もありますが、これからフリーランスが増えれば増えるほど、育成のしくみが課題になると感じています。
もちろん、短期的にみれば人を育てることはコストでしかありません。
でも長期的にみると、ゲンキさんも言及していますが、その業界自体がシュリンクし、結果的に自分の首を締めることになります。
ボクらアラフォー世代は、人生の折返し地点。
少し俯瞰しながら社会を眺め、後輩たちに発破をかける役割も担わなければいけない年なのかも。
フリーランスが新しい普通の生き方の一つとして、認知されるだけでなく定着できるように、ボクなりにできることをやってきたいと思います。