地域学系大学・学部の講義を担当してみて

大学キャンパス コンサルティング

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

ご縁あって、福岡のある大学で地域づくり関連の講義を担当させてもらっています。

講師経験などまったくなかったので、正直、失敗ばかり。

20歳以上も年齢が離れた若い人たちの感覚がまったくわからず、苦労の連続でした。

ボクが講義で伝えること以上に、学生たちから学ぶことが多かったです。

地域づくりの意義について改めて考えるきっかけにもなりました。

今回の経験を次に活かすためにも、反省を兼ねて振り返りたいと思います。

地方大学で増えている「地域学系」の学部

近年、地方大学では大学改革の一環として、「地域学系」といわれる学部が増えています。

大学が地域社会とより連携し、地域産業やビジネスに関わる人材を育てようという取り組みです。

ボクが学生のころは、地域づくりに取り組む学生は珍しがられたものですが、時代は変わるもの。

今では、高校生のころから商品開発に携わったり、大学の専攻なども関係なく、週末に地域イベントやマルシェに参加していたりしているそうです。

「地域づくり」はマイナーな存在だと思って活動してきたので、大学の学部になるほど需要があることが新鮮な驚きでした。

6次産業化などをテーマにした地域ブランド論を受け持つ

ボクが担当したのは、大学2年生40人ほどを対象とした「地域ブランド論」という講義。

6次産業化などの地域の商品開発がテーマです。

ちょうどその頃、九大生たちと糸島の甘夏を使ったかき氷づくりにも取り組んでいたので、タイムリーな話題も提供できると思い、お手伝いすることにしました。

※甘夏の取り組みは下記のブログ参照

元区長など地元の人が訪れてくれるかき氷屋台

コミュニティビジネスとしてのかき氷屋台の実践

2019年8月8日

とはいえ、ボクは現場人間なので少人数でフィールドワークをしたり、企画をプロデュースするのは得意なのですが、講義などは苦手。

自分の実体験は話せても、本などを教科書にしてしゃべることができません。

後になって90分の講義が15回も必要と聞き、事前に確認しなかったことを猛烈に後悔しました。

実際に最初の講義なんて、90分間話せると思って準備したスライドが、30分で尽きる始末。

この調子で毎週講義したら、あっという間にネタ切れしてしまいます。

慌てて事務局に相談すると、自分以外にゲストを呼んでもいいとのこと。

人数の制限もないということで、積極的にゲストに来てもらうことにしました。

快く協力してくれた方々には、本当に感謝してもしきれません。

大学でゲストが講義する様子

学生たちの授業への反応の薄さに悩む

半年間、授業をやってみましたが、学生の反応の薄さに手を焼きました。

どんなに授業内容を工夫しても2割ぐらいが寝ます。

自分もよく寝る学生だったので、文句はいえません。

因果応報とはいえ、かなり凹みます。

40を過ぎて毎週のように家族に「学校に行きたくない」とボヤくことになろうとは、思いませんでした。

授業の内容がわからないか、興味がないのか、態度から伝わってきません。

有料のセミナー参加者とは熱量が全然違います。

選択必修の授業ということもあり、義務感で来ている学生に伝える難しさを感じました。

ミニレポートが学生とのコミュニケーションツールに

試行錯誤だらけの講義で唯一うまくいったのは、毎回ミニレポートを学生たちに書いてもらったこと。

授業の評価対象にしていたので、毎回丁寧に書いてくれます。

こちらの手間は増えますが、意見や感想を通じて学生の理解状況もわかるし、関心の対象もわかりました。

このレポートがなければ、授業の改善点がつかめず、モンモンとしていたはず。

レスポンスをもらうことがいかに大事かを学びました。

質問もけっこう書いてくれたので、次週に講義の振り返りと合わせて答えたりと、授業の幅もでました。

講師で来てもらったメンバーに、感想をフィードバックできたのも良かったです。

学生とのコミュニケーションツールとしては、LINEのオープンチャットを活用。友だち申請などせずとも登録でき、投票機能もあるので重宝しました。
http://official-blog.line.me/ja/archives/79902633.html
ちなみに学生のニュースリソースはTwitterが一番多くて驚き。

今どきの学生に対して個人的に思うこと

今回の講義を通じて、学生たちに感じたことを整理したいと思います。

1.興味の範囲の狭さ

地域のブランド化の事例として、由布院や糸島の事例を取り上げましたが、自分たちが知っていたり、身近な題材には反応が良かったです。

逆に漁業やリノベーションまちづくりなど、知らないことや新しいテーマには反応薄。

レポートでも単純に知らなかった 、驚いたという感想しか書かず、興味がないことに対してとてもドライ。

最近話題のニュースを取り上げても、ほとんど知りませんし、興味を持っていません。

紹介したニュースが自分たちにどう影響するかを丁寧に補足すると、ようやくちょっと興味を持ってくれます。

情報に関して、「余白」や「遊び」がとても少ないなと感じました。

2.考えを深めることが苦手

学生たちは、授業で話したことをスポンジのように素直に受けとめてくれます。

ただ、情報に対して無防備でまったく疑おうとしないので、逆に怖いくらいです。

授業後に学生同士のディスカッションの時間を設けたのですが、共感したことを確認しあうくらい。

他人の考えや反対意見を知り、自分の考えを深めてもらおうという意図はなかなか伝わりませんでした。

情報量や内容の厚みを増すことよりも、より手前の基礎的な考え方をもっと丁寧に伝えるべきではなかったかと反省させられました。

3.地域の課題と意識のギャップ

学生たちには、長文のレポートも書いてもらいましたが、地域の課題と興味のギャップを感じました。

地域の課題でどんなことが気になる?と質問すると、だいたいの学生がステレオタイプに少子高齢化や商店街の空洞化、空き家の増加などと答えます。

それ自体は別に問題ではないのですが、じゃあ、そんな地域で何がしたい?と聞くと沈黙してしまいます。

地域の問題って環境問題のような大きな話ではなく、身近なところにいくらでもあります。

地域系の学部にいるのなら、自分の身近な問題にこそ関心をもって、他人事ではなくて自分事として考えてほしいと感じました。

さいごに

今回の講義を担当してみて、自分が地域づくりをどう捉えているかを省みるいいきっかけになりました。

純粋に民間事業であれば、他人や周りを気にせず、自由に収益をあげればいいわけです。

でも地域事業というのは、地域の産業やビジネスを底上げする必要があり、ブランド化というのは、そのための手段の1つです。

初動時はやる気のある人たちで始めたりもしますが、できるだけ多くの人や地域にも波及させたい。

その意義や思いについて、表現を変えながら発信しましたが、どこまで伝わったは正直分かりません。

学生たちに聞くと、「最初は単純に公務員になろうと思っていたけど、今は事業に関わりたいし、民間がいいかもと悩みます」といっていました。

少しは働き方の選択肢であったり、悩む機会を与えられたのかなと思います。

来年度も通年で2年生と3年生に関わることになったので、今回の経験や反省を踏まえて取り組んでいきたいと思います。