こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。
1月下旬、筑後の酒蔵を巡る中で、きちんと見学できなかった蔵元繁桝にいってきました。
「繁桝」といえば、「喜多屋」と並んで八女の2大地酒ともいうべき存在です。
喜多屋で見られたような大型の冷蔵庫やサーマルタンクなどが並ぶ蔵を想像していましたが、現実はまったく反対で、大掛かりな機械はほとんど導入しておらず、昔ながらの酒造りをしていました。
十八代目の高橋社長(当時)に直接、施設の案内と説明をしてもらいましたのでご紹介します。
「酒の仕込みを始めるのは、日の出前の一番冷え込む朝6時です」
「昨年までは、泊まり込みで仕込んでいたんですが、インフルエンザが蔓延したことと労働基準法の遵守から、通勤制に変えました」と高橋社長。
蔵の成り立ちから酒造りの工程の1つ1つを丁寧に解説していただきました。
繁桝では、これまで引っ張ってきた池松杜氏が引退し、蔵頭をしていた立石さんが新杜氏として初めての仕込みなんだとか。
「今度の杜氏は、前の杜氏のもとで20年一緒にやってきた人で技術は十分なんですが、絞る時期を決断するのが難しいそうです」
という高橋社長の話を聞きながら、ちょうど吟醸酒のしずく搾りの作業を行っているところを見学させてもらいました。
タンクから汲み出す“もろみ”を数人掛かりで酒袋に移し、その一つ一つを手作業でタンクにぶら下げていきます。
若い蔵人が多いことにも驚きました。
繁桝は石高が2200石だそうで、一升瓶換算で年間約22万本のお酒を造っている計算になります。
そのほとんどがこうした蔵人たちの手作業で、冬の寒さの中で行われていることを考えると、もっと味わって飲まないとバチがあたりそうです。
麹室や検査機械など2時間もかけて案内してもらい、さらには繁桝の17銘柄を試飲させてもらいました。
高橋社長によると、地元のファンがいるので、普通酒も醸造酒もかなりの量を造っているそうです。
銘柄が増えた理由を聞くと、「そもそも銘柄を増やすつもりはなかったのですが、お客さまからの問い合わせも多く、どうしてもつくらざるを得なくなり、銘柄が増えました」とのこと。
一方で、そうやって消費動向の変化に対応しないと現在の石高はなかったともおっしゃっていました。
今後も喜多屋とともにおいしいお酒を造りつづけてほしいと思いました。