コンサルティング

糸島での田舎暮らし挫折経験から学んだ3つのこと

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

以下のような記事を書いたので、移住についての相談を受ける機会も増えてきました。

田舎暮らしや移住に失敗しないための3ステップ

2018年4月23日

空き家への移住失敗しないための4つのポイント

2018年4月6日
記事を読んで、充実した田舎暮らしをしていると思うかもしれませんが、実は挫折者です。

むしろ田舎暮らしまでたどり着かなかったといった方が正確かもしれません。

本来は恥ずかしくて書きたくなかったのですが、このブログではリアルな地域の実情を発信しようと決めています。

記事の感想を読みながら、自分のことも誤解を招かないようオープンに発信した方がいいと思いました。

また挫折したからこそ、他人には失敗してほしくないという気持ちも強くあります。

挫折の経験談でも、移住希望者の助けになれば幸いです。

田舎暮らし挫折の最大の要因はヨメの反対

ボクが糸島市の中心市街地に移住してから10年近くが経ったときのこと。

南斜面で海が眺められる農地付きの住宅という理想的な物件が見つかりました。

地元や不動産屋と付き合い続けて、自分の好みを知ってもらい、物件が出てきたらすぐに声をかけてもらえる状況をつくった上で、ようやく出てきた物件です。

それまでにも行政と組んで移住向けの土地探しをしたり、地元の建設業者の紹介で巨大な屋敷を斡旋されたりしましたが、なかなか条件の合う物件には出会えませんでした。

そもそも糸島(特に志摩地区)は別荘地を除いて、物件が出にくい状況なのです。(糸島の土地利用規制に興味がある方は、下記の記事参照)

糸島の空き家(古民家)再生プロジェクトその2(開発許可編)

2016年2月23日

即購入しないと別の買い手が決まりそうなので、当時結婚して間もないヨメに相談したところ、「戸建ては無理」「集落との付き合いは絶対できない」、「農村で暮らすなら離婚する」といわれて唖然としました。

ヨメは佐賀の大学出身で地元を気に入っていたので、勝手に田舎好きだと思い込んでいました。

よくよく話してみると、京都暮らしが長く、根はまったくの都会人。

糸島の市街地に住むのもホントは嫌だったとカミングアウトされる始末です。

「ウソだろ……」と思いましたが、ヨメも本気で譲りません。

不動産屋に返事をするまでの1週間、どうしよう…と悩みに悩みました。

結婚してまだ一年足らず。

子どもはいませんでしたが、将来の子どもたちの「ふるさと」をつくるために、田舎暮らしの物件を探していたわけです。

一人で田舎に暮らしたいかと問われると、そうではありませんでした。(ふるさとへの思いはプロフィール参照)

プロフィール

2018年2月1日

田舎の物件探しは10年という時間をかけ、周到に行っていたのですが、ヨメにはきちんと説明していませんでした。

ボクの仕事や生き方に共感してついてきてくれたと勝手に思い込んでいました。(ヨメなりの妥協の限界が糸島の市街地だったわけです)

散々悩んだあげく、なじみの不動産屋に断りの電話を入れました。

「信じられない。こんな物件もう出ないよ」と言われたことを覚えています。

これがボクの田舎暮らしの挫折でした。

糸島全体を「ふるさと」と思えればいい

結婚してからさらに10年が経ち、今では笑い話として話せますが、当時はそうとうショックでした。

未だにヨメが「糸島は暗くて不便だから住みたくない、佐賀は明るくて住みやすい」という意味がわかりません。

それでも、糸島で田舎暮らしを強行しなくてよかったと思います。ほんとに強がりではなく。

田舎の近すぎる人間関係は、人付き合いが苦手なヨメにとっては極度のストレスです。

子育てのストレスと重なったら生きていけなかったでしょう。

「実家に帰ります」という置き手紙を残していなくなると断言できます。

今はマンション住まいですが、子どもの親同士の付き合いを通じてヨメにも友達が出来つつあります。

学校の役員をするなど、ヨメなりに努力してくれるようになりました。

ボクも挫折の経験が自分の意識を変えるきっかけになりました。

田舎に住めないなら通えばいいわけです。

幸いサロン活動などを通じて地元の知り合いが増えていたので、今では毎週のように漁村や農村、山村まで糸島市内のどこかに通っています。

移住者が「地元と知り合いたい!」ときの4つのコツ

2018年3月12日

糸島自体が人口10万人の小さな都市なので、市街地と農村もつながっています。

都市部の人から農家を紹介してもらうことなんかもあるわけです。

田舎に住んでも、子どもたちが将来戻ってくるとも限りません。

今、増えている空き家になる可能性だってあります。

子どもたちには糸島全体を「ふるさと」と思ってもらえればいいと気づいて、ずいぶん心が軽くなりました。

共感できる仲間がいることが魅力

糸島は身近なところに海も山も自然もあり、ほんとに豊かな環境です。

ワカメ取りからタケノコ掘り、テナガエビ釣り、カブトムシ捕りなど、年間を通じてできる遊びや体験は山ほど。

こうした糸島の魅力は、仲良くなった友人たちが教えてくれます。自分だけだと気づかないことだらけ。

むしろ、糸島の楽しさを共感できる仲間がいることの方が大事なのかもしれません。

集落で田舎暮らしを始めたからといって、こうした付き合いが自然に生まれるわけではありません。

むしろ、意識的に仲間づくりをしたおかげ。(実はヨソから来た人の方が遊びに詳しかったり)

畑づくりも気の合う仲間6人で楽しんでいます。

もともと酒飲み友達だったのが、一緒に飲みすぎて話題がなくなったので畑を始めたという変なグループです。

ボクはもともとズボラな人間で、野菜づくりのこだわりもありません。

除草や育苗などの管理リスクを分散できる上、収穫をシェアできる喜びがあるからこそ続いています。

一人でやっていたら、きっと雑草生え放題になり、こちらも挫折していたでしょう。

いただいた恩を地域に還す感覚の大切さ

ボクは田舎暮らしの挫折経験を通じて、以下の3つのことを学んだ気がします。

  • 田舎に住めなければ通えばいい
  • 子どもの「ふるさと」は糸島全体でいい
  • 共感できる仲間こそ財産
本当に「人」とのご縁に恵まれたおかげで、今でも楽しく暮らせています。感謝の言葉しかありません。

地域の支援やお手伝いをしているので、そのおかげで付き合ってもらえているのだと思います。

仲良しの農家さんが忙しいのに地域の役職を引き受けた際、「地域にお世話になっとうけんな、ご奉公せんと」と言っていたのが印象的でした。

地域からいただいた恩を地域に還す感覚が田舎には残っていて、その感覚がボクは大好きです。

ボクも地域の恩を還元したいと思って、地域になじんでくれそうな移住者の支援や学生たちとの地域交流を手伝っています。

田舎暮らしできなくても、田舎の良さは楽しめます。

住むか住まないかを考えるよりは、まず付き合えるかどうか。

悩んでいる人はまず一歩を踏み出してみてください。

ほんちゃん(本田正明)

地方生まれ、地方育ちの40代子育てフリーランス。都市計画の専門家ですが、地場企業や大学、自治体と公民学連携プロジェクトに携わっています。学生たちと農漁村での地域づくりやソーシャルビジネスを展開中。フィールドワーク大好き。福岡県糸島市在住。九州産業大学非常勤講師。

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