こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。
ひさびさにお酒の会を開催しました。
会場は博多町家をリノベしたゲストハウス「ガクブチ」
ガクブチでのこれまでのお酒の会については、こちらの記事へ。
実はガクブチで、自分が主催するイベントは初めて。
久留米のお酒をこよなく愛するたけちゃん(平川武)とお店をジャックしました。
これまでは筑後のいろんな酒蔵の日本酒を飲み比べていましたが、今回から趣向を変え一蔵ごとに魅力を掘り下げて紹介する取り組みに。
記念すべき第一弾は「杜の蔵」。
三潴にある酒蔵で、古酒などの長期熟成のお酒が特徴的です。
会場の広さから10人程度の少人数の会でしたが、アットホームな感じで盛り上がりました。
その雰囲気をお伝えできればと思います。
九州は焼酎が有名ですが、実は日本酒の酒蔵も多い酒どころ。
全国1,433蔵のうち、福岡県は全国5位(57蔵)を誇ります。
順位 | 県名 | 酒蔵数 |
1位 | 新潟県 | 88蔵 |
2位 | 長野県 | 76蔵 |
3位 | 兵庫県 | 68蔵 |
4位 | 福島県 | 61蔵 |
5位 | 福岡県 | 57蔵 |
資料:国税庁「清酒製造業の概況(H28)」
福岡の酒蔵は筑後川、矢部川の流域に集中しています。
中でも城島(久留米)は昔、九州の灘(兵庫)と言われるくらいの酒処。
今でも14の酒蔵が営業を続けています。
杜の蔵も筑後川の下流域に位置する酒蔵で、西鉄三潴駅から徒歩3分ぐらいで訪れることができます。
資料:「2018年酒蔵マップ」国税庁
乾杯のお酒は、なんと酒粕焼酎「吟香露」のハイボール。
日本酒の会と思わせておいて、意外な乾杯酒です。
実は日本酒をつくる際、同時に大量の酒粕が生じます。
栄養価が高いので畑の肥料に使いたいのですが、アルコールを含むのでそのままでは土に撒けません。
そのため、一度アルコールを飛ばす必要があります。
でも、飛ばすそのアルコールですらも無駄にしないのが先人の知恵。
酒粕を蒸留してできたのがカストリ焼酎です。
昔のカストリ焼酎は独特の匂いと味わいだったため、次第に廃れていきました。
その地域文化を守ろうと開発されたのが吟香露。
とてもフルーティな焼酎です。
吟醸酒の香りを楽しみながら、すっきりした味わいを楽しめるハイボールという趣向です。
今、久留米のご当地ハイボール「吟ボール」として売り出しています。
今回は、無濾過「吟香露」を仕込み水の炭酸水で前割りするという手の凝りよう。
参加者は最初から衝撃が強すぎたのか、思考停止状態に陥っていました。
2杯目からは日本酒の飲み比べ。
冒頭に書いたように、杜の蔵は熟成酒や古酒にも力を入れています。
ひやおろしや古酒について、まずは簡単に違いを紹介。
新酒や古酒はわかっても、意外と秋酒文化は知らないようです。
ボクは「ひやおろし」の濃厚さが一番好きなので、この時期のお酒が楽しみで仕方がありません。
時期 | 特徴 |
新酒 | ・醸造したままで、火入れ(殺菌)をしていない搾りたてのお酒 ・フレッシュな香りと味わいが特徴 |
夏酒 | ・夏の日本酒需要の伸び悩みが背景に2000年代に入って始まった新しいお酒。 ・酸味あるスッキリした白ワインタイプ、キリリと冷たい原酒ロックタイプなどがある |
ひやおろし 秋あがり |
・搾りたての新酒を貯蔵し、夏のあいだ熟成 させたお酒。 ・熟成し、粗さが取れたまろやかな丸みと、味わい深さとを楽しめるのが特徴 |
古酒 | ・満3年以上蔵元で熟成させた糖類添加をしていない酒 ・熟成によって味や香りが濃厚なのが特徴 |
杜の蔵では、ひと夏越したひやおろしだけでなく、ふた夏越した「二年目の秋」というお酒も出しています。
今回は上記二本と、火入れをしていない無濾過生原酒をひと夏越した「槽汲み(ふなぐみ)」の三本をぜいたくに飲み比べました。
槽汲みは、生酒だけあってフレッシュな感じを残したまま、まろやかな味わいに。
女性の方々にはかなり人気が高かったです。
ボク個人としては、やはり濃厚な二年目の秋が気に入りました。
飲み比べの面白いところは、人によって好みの違いがわかること。
同じ蔵の秋のお酒でも好みの違いが出てくるのが面白いです。
杜の蔵の真骨頂はやっぱり古酒の「独楽蔵」。
ということで、3年ものと5年ものの飲み比べもしました。
たけちゃんに代わって、杜の蔵スタッフの藤原さんが直々に紹介してくれました。
藤原さんは杜の蔵のお酒に惚れて、蔵に乗り込んで就職したぐらいの杜の蔵好き。
自前でPR用Tシャツをつくったり、杜の蔵愛がハンパないです。
5年ものの古酒「悠(はるか)五年 独楽蔵」は、お酒の色も琥珀色。
味わいも紹興酒に近い感じです。
古酒になるとやはり好みの違いがかなりはっきり出てきます。
ボクは好きなタイプで、甘いものにも合わせて飲みたいと思いました。
燗酒にすると、また違った味わいを楽しめました。
アテとなる料理についても地元(筑後)のものにこだわりました。
杜の蔵の酒粕が入った麹ドレッシングを使ったカルパッチョ。
大川の庄分酢で漬け込んだ根菜類のピクルス。
しっかり煮込んだ角煮や干し柿を練り込んだクリームチーズがまたお酒に合うこと。合うこと。
お酒だけなく、こうしたお酒に合うアテを準備できるたけちゃんに感謝です。
また友人がサプライズで、大木町のキノコと南蛮揚を使った料理を持ち込んでくれたりしました。
最後は久留米荘のうどんで〆るなど、まさに筑後のフルコースでした。
今回は、ゲストハウスのロビーを借りての実験的な取り組みでした。
会場の都合もあり、10人程度の少人数の会でしたが、参加者の反応はとてもよかったです。
1蔵ごとに魅力を掘り下げる試みは初めてでしたが、スタッフも参加してくれたことで、蔵の顔が見えました。
蔵開きとはまた違った楽しみ方を提供できたかなと思います。
杜の蔵は、米づくりや資源の循環にもこだわっているので、酒粕焼酎にも熱心に取り組んでいます。
商品だけでなく、その背景にある文化やこだわりも伝わればいいなと思う会でした。
次回はまた筑後や城島のこだわりの蔵を紹介できればと思います。