コンサルティング

移住希望者を増やすための体験農園運営とは?

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

これまで過去3回ほど、体験農園の立ち上げに関わってきました。

自分から企画を持ち込んだり、地元の農家にお願いされたり、とケースはそれぞれ。

ただ、どの取組も地域とちゃんと付き合ってくれる仲間を増やしたい、というのは共通しています。

景色の良さや憧れだけで移住してしまうと長続きしない人も多く、結果として地域にも迷惑がかかります。

田舎はいい面だけでなく、集会や出ごとが多かったり、役員をさせられたり、めんどくさいこともたくさん。

泥臭い面も含めて、理解して付き合ってくれる人が結果的に長続きするんじゃないかと思うわけです。

なので、ボクがお手伝いする体験農園は、事業単体で収益を上げようというものではありません。

地域の住民目線で、地域と相性のいい移住希望者(見込み客)を増やし、長期的な視点で地域への還元を増やそうという取り組みです。

とはいえ、まったく赤字で行うわけはいきません。

野菜づくりは手間と時間がかかります。できるだけ経費をかけずに運営することは大事。

ボクもいろいろと失敗を経験して工夫を重ねているので、そのノウハウを公開したいと思います。

不動産事業や農業と組み合わせて良質な見込み客を作りたい人や、農村との交流やコミュニティづくりに興味ある人は参考にしてください。

体験農園のチームビルディング

まず伝えておくべきは、ボクには農業の経験がありません。

でも、昔憧れていた時期もありましたし、今でも家庭菜園は仲間と一緒にやっています。

自分に農業のノウハウがない場合は、農家のパートナーが必修です。

栽培管理はもちろんのこと、そもそも農地は農家でないと借りられなかったりします。

ざっと事務局で必要となる仕事は以下の通り。

  • 事業企画・運営管理
  • PRプロモーション・記録作成
  • 受付窓口・会計・連絡調整
  • 農地管理、野菜生育管理、作業指導

これだけ見ても、けっこうなボリュームです。

2〜3年して慣れてくると2人でも回せますが、最初はだいたい3人で始めています。

「どうしたら、農家の協力を得られるのか?」という声が聞こえてきそうです。

ボクの場合でしか語れませんが、最初は地域への思いを企画書に書いて、ひたすら適任者を探して回りました。

田舎の場合、誰から紹介されるかが大事だったり。

さいわい、役所も協力的で人探しもバックアップしてくれたので、地域の信頼があり、野菜づくりにも精通している農家を紹介してもらえました。

行政などのバックアップがなければ、地元の行事に積極的に関わり、信頼関係を築いてから体験農園を提案するという長期的な戦略もいります。

地域や人との相性を考慮

体験農園運営で、もう一つ大事なポイントは地域性です。

都市からの距離は重要な要素。

都市部から農園までの距離が1時間を超えると、さすがに集客も苦労します。

農園に通ってもらう頻度が月1〜2回だとしても、30分圏内の参加者がほとんどです。

それと生産地の個性も大事。

農地が10haあるような大生産地で体験農園事業の相談を受けたことがありますが、そもそも、大型機械が必修の大量生産型の農業と体験農園ではスタイルが違います。

農家も野菜の種類が違えば、まったく育て方を知らなかったり。

少量多品目の野菜づくりに詳しく、有機肥料の使い方や農薬を使わない農業にも理解がある人でないと難しいです。

逆に農家のトークの上手さは、あまり関係がありません。

最初に関わってくれた農家は、朴訥としていましたがむしろその素朴さが魅力的でした。

参加者からなぜ無農薬のキャベツは需要があるのにつくらないの?と問われて、

「収量が10分の1になるから、1玉1,000円でも買ってくれるならつくります」

という迫力ある回答は、今でも忘れません。

体験農園は農業のリアルを感じられる場でもあります。

SNSを使ったマーケティングの必要性

農園運営で一番頭を悩ませるのが、集客のためのマーケティングです。

体験農園の費用は年間4〜5万円程度が相場。

かなりの収穫量もあるので満足度は高いのですが、野菜づくりが初めての人にとってはかなりのハードル。

新聞広告やタブレット紙へのペイドパブ、店舗へのチラシ配りなどいろいろと試しました。

結果として一番参加者がもっとも多く、反応がよかったのがSNSです。

新聞などの紙媒体メディアの顧客はどうしても高齢者中心。

子育て世代などの若い人たちはほとんど見ていません。

FBで口コミだけでなく、有料広告を使えば地域や年齢層などのセグメントを絞って細かくアプローチできます。

ただ、このごろFBも見ていない人が増えているので、新たに始めるとすれば、違うアプローチも検討がいるでしょう。

農園運営のありがちな失敗

農園運営をなんども行っていると、失敗もよくやらかします。

生育の早いキュウリは、週1回収穫しても巨大化しています。

大玉のトマトはほとんどカラスのエサになってしまったり。

落花生の植える場所を間違えて、収穫する前に土に漉き込まないといけなくなったり。

失敗例をあげれば、キリがありません。

夏場は暑いので朝早く農作業をして、その後に座学を組み込んだら、みんな爆睡してしまったこともありました。

以前は、農業のイロハを学べるようにと座学も行っていましたが、現在は口頭で伝えるぐらい。

農業をきちんと学びたい人は少数派で、体験できればいいという人がほとんどです。

意外だったのは、近所に住む移住者が農家と知り合いたいと参加してくれたこと。

移住して5年以上経っても、地域とつながりがない人も多いようです。

農家との縁を通じて、農地を借りて独自に菜園を始めた人もいました。

実際に農園を運営してみないとわからないことはたくさんあります。

コミュニケーションを組み込む

農家と仲良くなれるというのは、実はとてもニーズがあります。

七夕まつりのための笹(ささ)や稲わらを手に入れることすら、都市住民にはツテがありません。

ファミリーの参加者は、カブトムシやほたるを一緒に採ったりすることが子どもの貴重な体験にもなるわけで。

農家との付き合いが生まれると、田舎の楽しみ方は何倍にも増えます。

そのきっかけを提供するだけでも体験農園の価値があるかもしれません。

また、参加者同士の付き合いを生むのも大事です。

収穫した野菜や地元の食材を用いたバーベキューや鍋パーティなどを一緒に行ったりするとすぐに仲良くなります。

SNSもうまく組み込んでおけば、仕事などで畑にいけないときに、除草作業や収穫を代わりにしてくれたり、お互いがサポートしてくれます。

コミュニティが濃くなりすぎると、新規の人が参加しにくくなるので、加減は必要かもしれません。

さいごに

体験農園を運営するには、上記のことだけでなく、野菜の品種選びや苗の育成、定植時期などのスケジュール管理、といった細かなマネジメントも必要になります。

それぞれ、どれくらい費用がかかるのかも気になるところでしょう。

これまで農園運営で培った事業計画などの資料については、本当に事業実施を検討している方々のみに公開を考えています。

興味ある方は、メールや問い合わせなどからご一報ください。

ほんちゃん(本田正明)

地方生まれ、地方育ちの40代子育てフリーランス。都市計画の専門家ですが、地場企業や大学、自治体と公民学連携プロジェクトに携わっています。学生たちと農漁村での地域づくりやソーシャルビジネスを展開中。フィールドワーク大好き。福岡県糸島市在住。九州産業大学非常勤講師。

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