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ビジネスに「コミュニティ」を持ち込んだ一兆ドルコーチ

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

「1兆ドルコーチ」という本を読みました。

派手なタイトルとは裏腹に、主人公であるビル・キャンベルという人の名前はあまりなじみがありません。

シリコンバレーの名だたるCEOのメンターやコーチだったそうです。

タイトルの「一兆ドル」もAppleやGoogleなどの企業価値を高めたことに由来しています。

でもボクは、それ以上に「人を輝かせることを喜び、黒子に徹する」という姿勢に惹かれました。

情熱や行動力を持った人も必要ですが、裏方の存在や能力がもっとクローズアップされていいと思うからです。

この本もビル本人が書いたものでははなく、彼のコーチングを受けた人たちによって書かれたもの。

表に出ないスタンスは徹底しています。

それと彼はビジネスに「コミュニティ」の概念を持ち込み、発展させた人でもありました。

地域ではコミュニティが強すぎて、マイナスに作用することもしばしば。

これからのコミュニティを考える上でのヒントも多かったので、紹介したいと思います。

フラットで思いやりのある人間関係を築く

ビル・キャンベルはどんな人だったのでしょうか?

もともとは元コロンビア大学のアメリカンフットボールのコーチだったそうです。

その後、Intuit(フィンテック企業)のCEOに転身したのだとか。

経歴のダイナミックさにアメリカの懐ろの深さを感じます。

本では、AppleのジョブズやGoogle幹部のメンターとして活躍したエピソードもたくさん出てきます。

ボクが驚いたのは、経営幹部のコーチングをしながら、仕事や人間関係が非常にフラットなことです。

フットボールの練習をコーチしている間は、ジョブズの電話にも応えなかったというエピソードも。

相手が中学生であろうと、大企業の幹部であろうと関係なく同じように接していました。

誤解ないように補足しますが、彼は仕事とプライベートを分けていたわけじゃありません。

むしろ、仕事の場にプライベートな話を持ち込み、人間の部分を大事にした人でした。

人を大切にするために、人に関心を持たないといけない

家族のことを気にかけ、思いやりを職場に持ち込んだ人でもありました。

ビジネスだけでなく、人生を成功に

競争環境が厳しいビジネスの世界で、企業人たちが同僚や部下の家族や思いやりを大切にしたというのは、正直驚きでした。

ビルが持ち込んだコミュニティによって、ビジネスマンたちが意識を変えたわけです。

「ビジネスだけでなく、人生を成功させるために手を貸す」という彼の価値観は、マネジメントにも表れています。

「管理」するのではなく、「信頼」に基づいたフラットな関係性を大事にしていました。

「聞きたくないことを聞かせ、見たくないもの見せる」というコーチングも、相手への敬意があってこそ成り立っています。

従来のマネジメントビルのマネジメント
監督支援
管理敬意
評価信頼
賞罰

支援 :成功するために必要なツ ールや情報 、トレ ーニング 、コ ーチングを提供すること
敬意 :一人ひとりのキャリア目標を理解し 、彼らの選択を尊重すること
信頼 :自由に仕事に取り組ませ 、決定を下させること

建設的な議論を生み出すためのコミュニティと信頼関係

彼がビジネスに持ち込んだコミュニティも、ボクらがイメージするものとだいぶ違います。

その際たるものが、「コンセンサスはくそくらえ」というスタンス。

トップダウンやロビイングによるコンセンサス(合意)は集団浅慮で質が低下する、と彼は考えていました。

現場で建設的な意見の不一致を生み出すことが最適解につながる。

そのためには胸のウチを安心してさらけ出させる環境が必要です。

コミュニティを通じて信頼関係を築くことで、その安心感を生みだしていました。

地域コミュニティの会議では、声の大きな人ばかりの意見が目立ち、空気で意思決定が進むことが多々あります。

女性だったり、小さな声が出にくく、どうしても現状が見えなくなります。

地域にはコミュニティはあるものの、コミュニケーションのレベルがまだまだ低いのだと気付かされました。

細かいギャップに気を配る

彼はコーチとしての役目として、「ちょっとさすっただけで直せるような、組織内の小さなひびに気づくこと」を意識していました。

「耳を傾け、目をこらし、理解やコミュニケーションのギャップを埋めるんだ」と常々語っていたそうです。

そのため、上司との関係より同僚の関係を重視していました。

職場内での何気ない会話を通じて本音の声を拾うことで、そうした小さなギャップに目を配っていたんだと思います。

コミュニティは繊細なものであることは、地域も企業も変わらないのかもしれません。

地域コミュニティをどう更新しうるか?

コミュニティが安心を生むためのセーフティネットだというのは、今回改めて気づかされました。

ただ、その安全性が「健全な議論」のためか、「生活を守る」のためかの違いはあります。

地域にとってコミュニティは前提だったので、手段としてコミュニティを捉える発想は目からウロコでした。

地域コミュニティは、しがらみが多くてめんどくさい、と多くの人が思考停止しがちです。

これから地域に関わる人のために、地域コミュニティの論理を整理し、体系化することも必要だと感じました。

行動を起こす手前に、「地域側の立場にいる」という信頼関係や安心感をどう生み出すか。

ボクも実践を通じて、もっと共有していければと思います。

ほんちゃん(本田正明)

地方生まれ、地方育ちの40代子育てフリーランス。都市計画の専門家ですが、地場企業や大学、自治体と公民学連携プロジェクトに携わっています。学生たちと農漁村での地域づくりやソーシャルビジネスを展開中。フィールドワーク大好き。福岡県糸島市在住。九州産業大学非常勤講師。

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