空き家活用

移住者向けに空き家活用が進まないのはなぜ?

どうも、ほんちゃん(@hmasa70)です。

空き家活用事例としてテレビで紹介されたこともあり、「どうしたら空き家を見つけられるの?」と相談を受けることも増えてきました。

街を見渡すと空き家はポツポツと点在しています。

田舎にいけば、空き家だらけのところも……。

でも実際には、ほとんど物件として出ていませんよね?

不動産や空き家バンクにも登録されていない空き家の数々。

「空き家に移住したい!」というニーズはあるのになぜ活用が進まないのでしょうか?

地域の空き家の実態についてお伝えしたいと思います。

糸島の空き家(古民家)再生プロジェクト(準備編)

2015年11月25日

糸島の空き家(古民家)再生プロジェクトその2(開発許可編)

2016年2月23日

糸島の空き家(古民家)再生プロジェクトその3(活用編)

2017年1月13日

移住できそうな空き家は10軒に1軒程度

まず空き家の状況についてですが、ボクは仕事柄、自治体の調査などで空き家(主に戸建て)を見て回ります。

人口5万人ぐらいの町を4箇所、1000軒ぐらい空き家を見て回りました。

外観からの判断ですが、実際に使えそうな空き家は10軒に1軒ぐらいというのが正直な感想です。

その1軒も中に入らせてもらうと、シロアリがいたり、雨漏りしていたり、ムカデがいたり、床が傾いていたりと住むにはハードルが高い物件が多かったりします。

みんなが憧れる「管理の行き届いた木造の古民家」なんて激レアで、見つけただけで「うぉー!」と声が出ます(笑)

そんな激レア物件でも、規模が大きすぎたり、接道が悪かったり、と簡単には使えないものも多いです。

売りたい人と借りたい人のギャップ

「使えそうだな」という物件の家主や管理者に対し、自治体からアンケートを送ったりもします。

今後の利用や賃貸・売却の意向を聞くためです。

回答をみると、家主や管理者の多くは空き家を売却したいという意見がほとんど。

親から相続したものの、持ち家もあるし、帰る予定もないから売却したい、手放したいという気持ちが強いようです。

一方で空き家を探している人は、圧倒的に多いのが「借りたい人」。

いきなり古民家を買って移住するには抵抗もリスクもあるので、とりあえず借りてみたいという感じでしょうか。

管理者は東京などの遠方にいるケースも多く、賃貸で貸すのは管理も大変だし煩わしいので、固定資産税を払ってでも放置しているのが現状です。

売りたいオーナー側と借りたい移住者側のギャップが全く埋まらず、空き家の利活用が進んでいません。

空き家への移住失敗しないための4つのポイント

2018年4月6日

古民家を扱う不動産を探す【借りたい場合】

空き家を使いたい場合は、どうすればいいのでしょうか。

空き家を「借りたい」場合は、物件と出会うまでの長期戦を覚悟する必要があります。

不動産屋の中には、地域や空き家のオーナーとの信頼関係を築き、自らリスクを負って改修を手掛け、空き家を賃貸住宅として再生している人もいます。

空き家のサブリース事業にみる、地方での副業の可能性

2015年4月5日

暮らしの問屋の古橋さんは、所有者と居住者を引き合わせるなど、顔の見える関係づくりを行っています。

こうした不動産屋を見つけ、自分の物件探しを協力してもらうケースが一番堅実で確実な方法だと思います。

ただ、出てくる物件は限られていますし、待機している見込み客もかなりいるので、自分の番が回ってくるまでにも時間がかかります。

古民家を扱う不動産を探す【買いたい場合】

一方、「買う」のであれば、リスクやお金はかかりますが、「借りる」よりも短い期間で物件を見つけることが可能です。

購入すれば、空き家を自分好みにリノベーションすることも自由です。

博多町家「古民家再生プロジェクト」

2017年9月6日

博多古民家の再生を手がけられているふくたくの小林さんは、「空き地」として売られている廃屋のような物件を購入し、自らリノベーションをしています。

糸島市内に自宅用として古民家を購入されたので、手伝いにいったのですが、壁を崩すだけでも一苦労でした。

一緒にいった友人は、「モノづくりが苦手なのでツライ」といっていました。

DIYなど、自ら手を動かすことが好きな人に限られるかもしれません。

もちろん、大工が必要なところは手伝ってもらっています。

空き家を改修するには、大工や工務店などのネットワークも必要になります。

自治体との連携による物件探し

ボクの場合はどうしているかというと、自治体の方々と一緒に地道に一軒一軒訪問しています。

行政の信頼とバックアップがあるのでオーナーたちはとても好意的に話を聞いてくれます。

ただ、行政が関わるため、空き家の利活用は単なる住居ではなく、地域の交流や福祉、活性化につながる取り組みが求められます。

地域おこし協力隊などの地域に関わる人の活動拠点として、空き家活用の需要は今後も増えそうです。

「空き家を貸してもよい」と返事をもらえるのは、ボクの場合だと「所有者が施設入居し、ご子息が管理している」ケースが多いです。

親が元気なうちはきちんと管理しておきたいという意識の表れなのかもしれません。

そのため、改修も生活に必要な部分だけにとどめています。

所有者の安心感にも繋がりますし、親族の方々に法事で使ってもらうなど、所有者と地域との縁を途切れさせないための配慮でもあります。

移住しやすい環境づくり

以上のような理由から、移住者向けに空き家の利活用はあまり進んでいないのが現状です。

空き家ごとに状況が異なりますし、オーナーの意向が途中で変わったりするので、ボクも何度か心が折れそうになりました。

ネットでは情報がほとんどないので、古民家に憧れる人はとりあえず拠点を近所に移して、現地で情報を集めていたりします。

庭木の剪定を手伝って隣の空き家の所有者を紹介してもらった人もいます。

よっぽど古民家や地域への愛着があるか、根気がないと続けられませんし、実現に届きません。

ボクもそうした状況を少しでも改善するため、空き家の管理実績を重ねることで、移住を希望する人と空き家を管理してほしい所有者をつなげることを手伝っていきたいと思っています。

ほんちゃん(本田正明)

地方生まれ、地方育ちの40代子育てフリーランス。都市計画の専門家ですが、地場企業や大学、自治体と公民学連携プロジェクトに携わっています。学生たちと農漁村での地域づくりやソーシャルビジネスを展開中。フィールドワーク大好き。福岡県糸島市在住。九州産業大学非常勤講師。

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