糸島甘夏堂の2年目の取り組み

糸島甘夏堂のきよみ、あまなつ、あまくさのジュースと福の浦漁港 プロジェクト

こんにちは、ほんちゃん (@hmasa70) です。

2020年も「糸島甘夏堂」を営業しました。

野辺・福の浦地区のみかんを地元農家から提供してもらい、学生がシロップやジュースの加工、販売を行うコミュニティビジネスです。

今回は甘夏かき氷に加え、ジュースも大小3種類にリニューアル。

プロジェクトに参加・協力してくれる学生も増えました。

昨年以上に盛り上がった(でも大変だった)活動の内容を報告します。

1月のみかん収穫から手伝い開始

昨年は3月末に地元の柑橘を使ってかき氷屋台をやろうと決めたため、甘夏の加工で手一杯でした。

地域づくりの一環として事業を行ってみて、販売だけでなく、地域にもっと関わりたいというのが学生たちと共通した思いでした。

農家さんに相談すると、「収穫だったら手伝えるよ」とのこと。

ということで、2年目の取り組みは正月気分の残る1月中旬に「きよみ」の収穫からスタートしました。

野辺・福の浦地区の農家できよみ(柑橘)の収穫を行う学生

福の浦のみかん畑は、波の音が聞こえるぐらい海の近くにあります。

「何種類ぐらいみかんをつくっているんですか?」と聞くと、「きよみやろ、甘夏、ポンカン 、せとか、はるみ、不知火……」と覚えきれないほど。

野辺・福の浦地区だけで、10種類以上の品種を植えているのだとか。

地形や日当たりなどの条件とみかんの特性との相性をみながら植えているそうです。

「もともと福の浦は、漁業の休閑期の冬に甘夏栽培を始めたんよ」

「昔は17軒で甘夏を1000トンぐらい出荷しよったけど、今は6軒で40トンぐらいしかなか」

収穫作業を一緒に手伝いながら、農家さんが地域のことやみかん栽培のことをいろいろと教えてくれました。

軽やかな会話とは裏腹に、収穫はかなりの重労働。

初心者向けに平地の低木で作業させてもらいましたが、袋のみかんが増えると不安定になり、グラグラします。

学生の中には、脚立から落ちた子もいました。

たった一日の作業で足腰がフラフラになります。

農家さんたちはみかんの作業だけでなく、漁業も兼業で行っているので、その超人的な体力には驚くばかりでした。

柑橘のはるかの収穫を手伝う学生と農家さん

新メンバーを募りながらのみかん搾り

昨年主力だった学生たちは作業の手伝いはできますが、夏休みに大学院試験があるため店舗の販売スタッフができません。

新たに参加・協力してくれるメンバーがいないと営業ができない可能性がありました。

そのため、みかんの収穫や搾る作業もイベント的に実施しました。

とはいえ、コロナの影響で大々的な宣伝はできません。

個々のつながりから、甘夏堂の活動に興味を持ってくれそうな学生たちを募ったところ6人の学生たちが参加してくれました。

学生たちは建築学部から土木、共創学部など幅広く、九州産業大学の学生も参加してくれました。

とはいえ、学生たちは農作業が楽しかったり、パッケージデザインに関心があったり、事業企画をやってみたかったりと興味もさまざまです。

関心の度合いに応じて参加してくれればいいのですが、運営スタッフにもなってほしいという本音もあります。

みかんを搾りながらも、ボクの目線は事務局を担う人物鑑定ばかり。

運営に興味がありそうな子には、糸島甘夏堂の意義であったり、楽しさを熱心に伝えてリクルートしました。

その甲斐もあってか、最終的に石橋くんと朴くん (当時3年生) の2人が事務局スタッフに参加してくれました。

実際、彼ら2人が事務局運営や販売スタッフしていなかったら、店舗は回らなかったので、ほんとにありがたかったです。

海岸での打ち合わせの様子。右端の2人が石橋くんと朴くん

オンラインでのラベルデザイン設計

実をいうと、昨年のジュース販売が決まったのは、営業直前のことでした。

加工所の提案で急遽つくったため、ラベルデザインを検討する暇もありません。

事業仲間から瓶に番号をナンバリングするアイディアをいただいて、なんとか乗り切ったという状態でした。

今回は3種類のジュースを製造したので、見分けるためにもラベルが必要です。

デザインについては、ほとんど学生たちだけで取り組み、ボクたち大人は少しアドバイスしただけです。

ひらがなで柑橘の名前だけを表現するという、シンプルだけど大胆なデザインでかなり新鮮でした。

後で知ったのですが、学生たちだけで相当回数オンラインミーティングを開いていたのだとか。

コロナ禍で大学の授業もない時期だったので、こうした活動が数少ない学生同士のコミュニケーションや楽しみの一つになっていたようです。

最終案は女子学生の提案だったそう

画面上でデザインは決まっても、実際に瓶にどう再現するかは別問題。

当然、ボクは白文字印刷をした透明シールを使うと勝手に思っていました。

でも仕上がった試作品は、文字部分だけの切り抜きプリント。

聞くと、レーザーカッターを所有するラボに通って加工したのだとか。

自分には思いつかない学生らしい発想です。

でも1文字1文字を700本のジュースに、手貼りするのは骨が折れます。

学生たちがやりたいというので止めませんでしたが、大学院試験の勉強時間がなくなりそうで心配でした。

糸島甘夏堂のジュースのラベル貼りの様子
ジュースのラベル貼り作業の様子

地元の海岸清掃活動にも参加

みかんは地元の農家さんに協力していただきましたが、販売場所となる福の浦漁港は地元の漁協の土地です。

半農半漁の集落なので、ほとんどのメンバーの顔ぶれは一緒なのですが、組織は別モノ。

漁協とも協力関係を築くために、漁師さんたちと一緒に海岸清掃も手伝いました。

海岸を歩きながら、ペットボトルなどのゴミを拾うのですが、プラスチックゴミの多さに驚きます。

買い物袋の有料化による啓発も大事ですが、海岸ゴミのリアルな状況を知ることって大事だなと感じました。

清掃後は新しいメンバーの紹介と練習も兼ねて、漁師さんたちにかき氷やジュースを試食してもらいました。

昨年も食べた人からは、「去年よりすっきりして甘いね」「にがみがあった方がよかった」など、味の違いに関する意見も。

1年前の味を覚えてくれていたことに正直驚きます。

とはいえ、評判は上々。

今年もちゃんと販売できそうだと自信をつけました。

地元の人たちにジュースを試飲してもらう

8月から徐々に売上が伸びだす

昨年の販売では7月の雨に泣かされましたが、今年も同じ。

初日こそ地元の人たちを中心にジュースをたくさん買ってもらいましたが、肝心のかき氷はさっぱりです。

雨風が強く屋台が倒れて、途中で営業をあきらめた日もありました。

新メンバーは慣れていないので、お客への宣伝もなかなかうまくいきません。

苦手なことを無理にお願いすることもできず、当初の販売は苦労しました。

テレビの取材を受ける甘夏堂のスタッフと地元農家さん

転機となったのは、7月31日(金)夕方のテレビ放送。

甘夏堂の取り組みをまとめた内容を5分間近くも放送してくれたおかげで、翌朝から多くの人が訪れてくれました。

ジュースやかき氷の購入だけじゃなく、「学生さんの取り組みを応援したくてきました」という声も多くいただいて、元気づけられました。

学生たちも徐々に「シロップは地元のみかんを使って自分たちでつくったんですよ」などと会話を交わせるように。

8月は連日猛暑だったこともあり、お客さんがお客を呼んでくれる好循環も生まれて、だんだんかき氷の売上も伸び出しました。

2日間ほど営業を延長しましたが、最終的には売上目標もなんとか達成することもでき、なんとか一息つくことができました。

事業収支については、noteの記事で報告しています。興味がある人は参考にしてください。

さいごに

2年目のかき氷屋台は、初年度のメンバーがいない中での営業だったので、新しいメンバーだけで運営できるか心配でした。

でも、みかんの収穫や搾る作業から参加していたので、地元の人たちとも顔なじみになり、「自分たちのプロジェクト」として取り組んでくれていました。

最終日には、地元の人たちが多く足を運んでくれて、かき氷を食べてくれるというサプライズも。

地元も活動を応援してくれていることを感じて、うれしく思いました。

さっそく来年のプロジェクトにも関わりたいという学生たちの声も聞いています。

熱が冷めないうちに地域との交流活動などをはじめて、地域と学生の関わりを少しづつ増やしていければと思います。

また活動の展開があれば報告します。

甘夏堂の前でかき氷を掲げる子どもとスタッフ