糸島市福の浦地区の地祭りを初体験

地域交流・体験

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

糸島市の福の浦地区の地祭り(じまつり)に行ってきました。

福の浦地区は糸島市の北東に位置する半農半漁の集落。

ボクが地区計画や地域づくりでお手伝いしている地域です。

計画やプロジェクトだけでなく、地域の普段の様子も知りたいもの。

コミュニケーションも深めたいと思い、甘夏プロジェクトをしている学生たちと一緒に参加してきました。

野辺・福の浦地区の地区計画と地域づくりvol.3(甘夏編)

2019年5月29日

地祭は地鎮祭とほぼ同じ

そもそも地祭りって何だろう?と素朴に疑問でした。

地元の人に聞くと「航海安全や五穀豊穣などなんでも祝うもの」なのだとか。

ネットで調べると、土木工事の際に安全を祈願する地鎮祭とほぼ同じ。

宗教的行事というよりは、氏神様(その土地の神様)に対して豊作や安全祈願をする祭りのようです。

違うのは地祭りが、地域行事として毎年行われることぐらい。

祭り自体は11時からですが、準備はもっと早いと聞き、早朝から参加してきました。

朝は直会のアラ炊きと刺し身の準備

福の浦地区のコミュニティセンターについたのは朝8時すぎ。

地祭りはお宮ではなく、コミュニティセンターで行うのだそう。

すでに地元の人たちが集まり、お祭りの準備をはじめていました。

作業をのぞいてみると、ブリとアジをひたすらさばいています。

お祭りのあとの直会(なおらい)のために、刺し身とアラ炊きの準備をしていました。

男性陣が魚をさばき、料理は女性陣が担当。

漁村らしく魚の量がハンパありません。

毎年のことだけあって、さばくのも料理も手際よく進んでいきます。

ボクたちが手伝えることはほとんどなさそうでした。

神様のしめ縄は左なえ

海辺近くでしめ縄をつくっていると聞き、行ってみることに。

防火水槽の上で、集落の長老たちが縄ない(より合わせる)をしていました。

普通のしめ縄は右向きになえますが、神様のしめ縄は反対の左なえなんだとか。

最近は縄をなえる人が減っており、特に左なえは難しいので長老たちの仕事なんだそう。

左右の違いがあることすらはじめて知りました。

学生たちはしめ縄づくりを見るのもはじめてだったみたい。

長老たちに教わってつくるものの、うまくいかずなんどもやり直していました。

神事と不可分な地域事情

しめ縄ができると、コミュニティセンターに戻りました。

姫島、福の浦、岐志、芥屋の4地区のお宮は、1人の宮司が管理しています。

宮司は他の仕事と兼業ではなく、専業なんだとか。

4地域でとはいえ、地域で1つの職能を支えていることに驚きました。

宮司の到着を待ちながら地元の人たちと話をしていると、地域活動と神事は密接につながっているので、区分するのが難しいのだとか。

信仰の自由があるので、神事の強制はできません。

とはいえ、区費の中で神事分だけを取り出すのは難しい。

移住者には神事の参加は自由だけども、氏子になってもらい、区費の支払いはお願いしているのだとか。

地元に関わらないと見えてこない地域事情というのは、いろいろとあります。

お汐井を配る風習

そんなことをしているうちに、宮司が到着。

昨年のしめ縄を新しいものに交換し、お祈りが始まります。

式が終わるとお神酒をいただいたのですが、すぐに直会(祝宴)が始まるわけではありません。

浜辺の砂を清めたお汐井(おしおい)を氏子に配るのだとか。

山盛りのお汐井と米袋を片手に、宮司と一緒に各戸の神棚を参ります。

その際にお汐井をおすそ分けし、お米をいただいていました。

お米は宮司にお渡しするのだそうです。

それ以上に驚いたのは、地元の人しか知らない道なき道が山ほどあること。

隣の家との垣根のすき間や通路がどこにもありします。

大きな門は閉めてあっても、横から入れ、玄関は開けっ放しだから不思議。

一方で大きなお屋敷に、一人暮らしの高齢者が多い実態もよくわかりました。

垣根の間にある住宅をつなぐ通路

直会を通じて地域の人たちと交流

お汐井を配り終わると、コミュニティセンターに戻ってようやく直会。

熱い日だったので、日本酒よりもビールが人気なのはどこも同じです。

ボクはぶりのあら炊きを食べるのは初めて。

普段は食べられない大腸や心臓などの内蔵がとにかくうまかったです。

会合などでは無口だった人が、このときばかりは饒舌。

普段はあまりしゃべらない人や移住者の方々と話ができ、とてもありがたい機会でした。

最後の〆はブリをふんだんにのっけた贅沢な茶漬け。

うまいんですが、だからもっと食えと謎の強要をされたのはちょっとツラかったです(笑)

学生たちとつくった地元の甘夏ジュースも味わってもらい、好評でした

さいごに

港で釣りをしたり、海水浴やドライブを楽しむレジャー客がそばを通りながら、たんたんと進む地祭り。

お互いの眼には映っているのに、見ている世界は違うという奇妙な感覚を味わいました。

身近なところにも自分が見えていない、気づいていない世界はまだまだ広がっています。

地域に関わる人間として安易に新しいことを始める前に、地域が今まで続けてきたものの意味や価値を掘り下げたい。

地域にとって何が大切なのか、原点から見つめ直すことの大切さを感じました。

まずは一年を通じてもっと地域に関わることから始めたいと思います。