失敗から学ぶ地域コミュニティへの関わり方

失敗から学ぶ地域コミュニティへの関わり方のロゴ コンサルティング

こんにちは、ほんちゃん(@hmasa70)です。

久しぶりに地域コミュニティから相談を受けて関わることになりました。

初めてのコミュニティに入るときは、いつでも緊張します。

地域おこし協力隊などで地域に関わる人も増えているみたい。

一方で都会のロジックを田舎に持ち込んで、拒絶されたという話もよく聞きます。

一度関係がこじれるとなかなか修復できないもの。

もっとお互いがあゆみ寄れるといいのですが、仲介者や情報も意外と少なかったりします。

ボクもなんど失敗したことか……。

なので、ボクなりの経験を踏まえて、地域の関わり方の作法を整理してみました。

これが正解というわけではありません。

でも、集落の考え方やロジックの理解には役立つのではないかと思います。

これから地域に関わる人に少しでも参考になれば幸いです。

地域でイベントする際の関わり方

地域への関わり方もいろいろありますが、まず考えられるのが、イベントなどを地域で実施するケース。

身内や関係者だけの閉じた集まりだと問題ないのですが、地域にも参加者を募るような「開いたイベント」の場合、問題が起きることがあります。

よくあるのが事前説明を忘れること。

えっ……誰に?

と思われるかもしれませんが、田舎ではけっこう普通。

ぼくもフリーマーケットをした際、区長に事前報告を忘れて、怒られたことがあります。

イベントでは来訪者が路上駐車して地域の人に迷惑をかけたり、思わぬトラブルが生じるもの。

そのとき、問い合わせはすぐに区長に入ります。

何か起きた際に、すぐに連絡や行動ができるように事前周知が求められるわけです。

区長が地域のリスク管理の責任者というのを知っておく必要はあると思います。

逆にきちんと説明すれば、チラシを回覧板での周知してくれるなどの協力も得られたり。

面倒くさがらずに自治組織とコミュニケーションを図るのは大事です。

地域に相談を受けたときの関わり方

地域に関わっていると、地域づくりの相談を受けることもあります。

集落の会合や行政のワークショップに呼ばれたり……。

ボクもよく声をかけられますが、その際に以下の3点にいつも気をつけています。

  1. 過度な期待をさせないこと
  2. 議論を誘導しないこと
  3. 主体を明確にすること
以下では、それぞれを具体的に説明していきたいと思います。

①過度な期待をさせないこと

地域に関わる際、上から目戦で語り、妙な期待感を持たれて失敗するケースをよく見かけます。

田舎の集落は、人が減ったり高齢化が進んでいたりして困っているところがほとんど。

リップサービスで暗いムードを少しでも良くしたいという気持ちもわかります。

ただ自分が企業を誘致したり、雇用できないのであれば過度な期待をさせない方が望ましい。

夢を語っても、実際にできることは限られるからです。

絵に描いた餅で何も進まないという声もよく聞きます。

これは動けない地元も問題ですが、動けるプロジェクトをマネジメントできなかった関係者の責任でもあります。

ただ、最初から地域での成果は約束できません。

自分が当事者でも失敗する可能性はあるし、そもそも地元がまったく動かないリスクもあるわけです。

大事なのは、成功するかどうかはわからないけど行動すること。

お互いが身銭を切ってでも行動する気があるかどうかです。

そのためには小さなことから始められるよう、期待は低い方がいい。

ハードルを下げても、ついて来ない地域であれば仕方ないと諦めるしかありません。

時間は有限なので、動く気のある地域と関わるという割り切りも必要だと思います。

②議論を誘導しないこと

地域に呼ばれる際、期待されていることと自分の専門分野が違うこともしばしば。

その際に、自分の専門分野の話ばかりしてしまうと、地元にフラストレーションを生んでしまいます。

地域の人たちが、自分たちの抱える課題を言語化したり、適切な専門家選びは意外と難しいもの。

地域全体を長期的にどうするかという話をしたいのに、都市計画の短期的な結論を急ぐ専門家とトラブルが生じた話も聞きます。

ルールづくりやプロジェクト以前に、地域との時間軸を合わせたり、寄りそうことが大事な場合もあります。

地域の信用がなければ、話し合いを進められません。

専門性が違う場合は、正直に説明した上で適切な人を紹介したり、意見を求めるなどの対応も必要になります。

まずは地域の立場になって、真摯に耳を傾ける姿勢が大事だと思います。

③主体を明確にすること

地域の会合に参加すると、プロジェクトの主体が誰なのか、まったく分からないこともたまに見受けられます。

①でも話しましたが、地元が真剣にならないとプロジェクトは動きません。

「若者に来てほしい」のはどの地域も一緒です。

自治会に加入し、地域のことを手伝ってくれるような人を呼びたければ、なおのこと。

「ないものねだりでは人は来ない」

という現実に気づいてもらうのもボクらのような外部の人間の役割です。

人口が減っているので、昔のように土地利用規制の緩和をしただけでは人は来ません。

来てもらうための営業や努力が不可欠です。

その努力を誰が払うかですが、ボクら外部の人間がやると、地元がお客さんになってしまい、長続きしません。

地域主体でプロジェクトを進めるには、スピード感やマネジメントの難しさなどのリスクを伴います。

でも真剣さを引き出すためにも、地元が主体であることを明確にした方がいいと思います。

地域に事業を持ちかけるときの関わり方

地域との付き合いもまだないのに、いきなり移住関連のイベントや事業を持ちかけて断られるケースをたまに聞きます。

地域に良いことなので、当然手伝ってもらえるという思い込みでもあるのでしょうか?

ただでさえ、田舎は行事やでごとなどの付き合いが多かったり。

なのに、なぜ身も知らずの人たちの手伝いをしないといけないのか、というのが本音です。

地域に貢献していればこそ、手伝おうという気になるはずで、そもそもアプローチが真逆です。

一緒にプロジェクトを企画するにしても、地域になじみのある昔の行事や祭りの再現などを手伝う方がうまくいきます。

どうしても自分の好きなことをやりたければ、地域に迷惑をかけないよう、事前説明だけは行って勝手にやることです。

田舎は、どこから矢が飛んでくるかほんとに分かりません。

ボクも名称は誰に断っているんだとか、勝手に集落の共用地を使ってるとか、いろいろクレームをもらいます。

むしろ、誰にもぶつからずに田舎で新しいことをやろうなんてムリだと理解した方が気が楽です。

調整に時間をかけても、どこかで火の手は上がるし、手間がかかるだけで疲弊します。

区長説明など最低限の仁義を通して、後はクレーム処理を迅速にした方がましです。

反対者は危機感を持っている人も多いので、対応がよければ逆に仲良くなって応援してくれたりします。

最近は、地域内にパートナーを見つけて行動することが多いので、だいぶトラブルが減りました。

地域内に理解者を持っておくことも大事です。

地域と都会をつなぐハブに

地域にも都会からの退職者が戻り、理解してもらえることも増えていますが、まだまだ閉鎖的。

でも都会のようになればいいとは思いません。

コミュニティの共同意識や自治意識は、都会が学ぶべき部分もあります。

都会も地域も、もっと流動性を高めてお互いの良さを取り入れられていければと思います。

地域に関わる人たちがそのハブ機能を果たしてもらえるとありがたいです。