こんにちは、ほんちゃん (@hmasa70) です。
「緑」の存在は、地域の資産価値を高めたり、良好な景観を保つためにかなり重要です。
一方で成長しつづける樹木の管理は、なかなか大変。
ボクも管理組合の理事長をした際、緑の維持管理に悩みました。
住宅団地も世帯数が多くなれば、合意形成だけでも一苦労。
「緑」の専門家である東邦レオさんは、植栽管理だけでなく、地域の交流の場づくりまで行っています。
なぜ、植栽管理の会社が地域やコミュニティに関わろうとしているのか?
その取り組みを伺いました。
緑の管理や住宅地のエリアマネジメントに興味ある人は参考にしてください。
住宅地の緑や植栽管理の現状
そもそも住宅地の緑や植栽の管理は、どの程度かかるのでしょうか?
URの技術報告書によると、住宅地ができて15年時点と35年時点では3倍に増えるという結果が示されています。
植えられた木を伐採せずに成長させると、管理費の増大は避けられません。
管理費が高くなる主な理由は、樹木の「高木化」と「過密化」。
当初に植えられた樹木は若くて細いため、景観や見た目の印象をよくするため、過密に植えられがちです。
そのため時間が経つと、樹木の数が過剰な状況に。
しかも高木が多いと、住民だけでは管理できずに、業者にお願いしないといけません。
その結果、管理費が年々高くなる傾向にあります。
緑や植栽の管理の見える化
東邦レオは、関東や関西を中心に180もの管理組合の緑や植栽管理に関わっています。
人口世帯数にすると、18万人、68000世帯とかなりの数。
どのような管理を行っているのか、クリエイティブグリーン事業部の吉田啓助さんに話を聞きました。
「この木があるから住んでいる」という人もいれば、「この木はいらないから切ってくれ」という人もいます。
緑の価値って人によって違うものなので・・。
剪定の技術よりも、その手前のプロセスがとても大事です。
具体的にどのように関わっていくのでしょうか。
たとえば、芝生の生育不良でも管理の問題ではなく、土壌改良が必要な場合もあります。
そのため、緑の現状と問題を色分けして整理しています。
一覧表にして、景観や見栄えの問題とコストを見据えながら、どこから手をつけるかという優先順位を住民と一緒に話し合って決めています。
このままだと高木に費用が割り当てられないことがわかるので、低木については住民が自分たちで管理するようにして、浮いた費用を高木の管理に当てたりしています。
高木についても、伐採して景観が変わらないかというシミュレーションやフィールドワークを行い、景観を維持しながら管理コストを下げるという取り組みを行っています。
ある築40年の団地では、年間1千万円近くかかっていた管理費が7百万円未満まで下がりました。
コミュニティに関わるメリット
たとえば、高木剪定で来たときに、「草はなんで切らないのか」と言われたり、追加で作業をさせられて仕事が回らなくなったりします。
最初に私たちのような外部が、緑の手入れに取り組むきっかけを与えてあげると、状況が良くなるにつれて積極的に関わる人も増えてきます。
事前にそうした意見を伺い、切っても大丈夫な木を把握して作業に入ると、無駄な剪定作業を行わずに、コストを下げながら住民の満足度を上げることができるというメリットもありますね。
コミュニティカフェを通じた住民との関係づくり
それもコミュニティと関わる延長なんでしょうか?
植栽管理だけだと、どうしても付き合う人が緑が好きな人に偏ってしまいます。
子育て世代や多様な世代にも関わってほしいので、交流するしかけとして日曜喫茶などを行っています。
カフェ運営と植栽管理を別にするとコストが合いませんが、私たちは植栽管理というベースがあるので、職能を組み合わせることで、運営できるのではないかと取り組んでいます。
コミュニティとの関わり方で気をつけるポイント
最初に立派な花壇をつくってしまい、5年後に管理しきれずに止めてしまうケースが多々あります。
なので住民で花壇をつくる場合は、私たちがブレーキ役になることが多いです。
具体的にはどんなアドバイスをするんですか?
また管理が比較的楽なものを7割か8割ぐらい植えて、残りの2割は季節ごとに植え替えようというアドバイスをしています。
すごく参考になります。
芝生にしたいという意見が多いんですが、お金や条件を示すとムリなことがわかる。
情報開示をして緑にこだわりすぎず、使うところと使わないところのメリハリをつけることも大事です。
声が大きい大反対者が出てしまうと、すべてが止まってしまう危険性があります。
ワクワク感をつくることも大事なんですが、いかにネガティブな空気を生まないようにするか、とても気を使いますね。
東邦レオさんは植栽管理を通じて地域づくりを実践されているのがよくわかりました。
さいごに
東邦レオさんは、福岡でもトモニハという庭をシェアする戸建て住宅の取り組みも進めています。
住宅地には垣根がなく、7世帯で緑を共有管理する仕組みです。
緑を住民同士のコミュニケーションツールとしてうまく活用しています。
吉田さんの話を伺いながら、これからの地域づくりには植栽管理だけでなく、電気やガスなど、生活に密接に関わる事業者との関わり方が重要になると感じました。